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特許の世界は大きく分類すると、電気、機械、科学、意匠・商標の4つの分野になります。

内山
まず、特許とはどんなものか教えてください。
加藤
特許の世界というのは、大きく分類すると電気、機械、科学、意匠・商標の4つの分野になります。
私の事務所には、私を含めて4人の資格者が在籍していて、意匠・商標、機械、化学をメインに活動をしています。
内山
弁理士の資格を取得したきっかけを教えてください。
加藤
もともと私は、システムエンジニアをしていたんです。
その頃ちょうどビジネスモデル特許というのが出てきたんです。
昔の特許は、物や形のあるものにしか認められていなかったのですが、パソコンの普及に伴い、プログラムやシステムにも特許を認める、というのがビジネスモデル特許になります。
ITは今後さらに発展してく業界だろうと見越し、システムエンジニアの職に就きましたが、その中で、特許でITを守ることができるのであれば、更に面白いことができるんじゃないかと思い、ビジネスモデル特許から特許の世界に興味を持つようになったのが弁理士になったきっかけになります。
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内山
興味を持っても簡単に取れるような資格ではないですよね。
加藤
はい、もちろんなかなかとれる資格ではないです。以前勤めた別の事務所で勉強させてもらいながら…という期間を経て今に至ります。
内山
加藤&アソシエイツ特許事務所はいつごろから活動されているのですか?
加藤
2008年11月に設立し、今年13年目です。資格者は4人おります。創業当初、資格者は2人でした。
事務関係を行ってくれる社員が数名と、日本から海外に文書を送ることもあるので、外国人や翻訳者もおります。
海外から日本に(外内)、日本から海外に(内外)出願したいという企業の場合は、現地の代理人さんとも外国語で状況報告等を行わなければならないので、翻訳者さんはTOEIC満点の優秀な方ですが、特許独特の表現も多いので頑張って勉強をしてくれています。

特許は、中小企業の「営業の武器」にもなります。

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内山
知的財産コンソーシアムでやることについて、先生の考えを伺いたいのですが、私の肌感として、我々中小企業にとっての特許と、大手企業の特許というのは全く違うんです。
例えば、自社の製造物に対して特許を取り続けていくという事もないですし、特許のネタもない。特にサービス業は、特許とは離れたところにいると感じているのですが、たまたま学生時代に弁理士の先生が講義を行ってくれたので「知的財産権というのもあるんだな~」と知ることができたんです。
加藤
そうですね。エグゼクティブさんのように、サービス業の会社であれだけ特許証が並んでいる会社はそうないですよ。
内山
特許に関してまだ詳しくない人も多いので、「本を出してる人はすごい人」と似た感覚で「特許を持っている会社はすごい」という認識が高いので、僕は若いころ、特許を持っていることを周りに言い倒してきました。
営業管理システムは野村総研から始まり色々な大手企業が取得している中、自分も「営業管理システムの特許を持っているんです!」と。
中小企業の僕らにとっては、いわば営業の武器にもなったんですよね。大手企業の特許と私の特許は大きな差がありますが(笑)

特許の敷居は高くはないんです。特許になるようなネタは山ほどあります。

加藤
サービス業となると少々限定的になってしまうと思うのですが、モノづくりをしている中小企業さんも多いですからね。
私もメーカーに勤務していましたが、製品のスペックが満足しないと世の中に出せません。 どんなに単純なモノであっても、試験を重ねていくと、「これがダメだった」という壁が出てきて、そのたびに「あれをやってみよう、これを試してみよう」「この一軸を変えたらうまくいくのでは…」「理屈はわからないけど、これなら成功する!これでいこう!」という試行錯誤を繰り返すわけですが。

何か壁にぶつかった時に、何かを考え、解決し、効果が出た。これって、発明のネタなんです。 でも、皆さん、製品をリリースすることが自分たちの使命だと思っているので、それまでの工程で散々苦労したことを完成した途端に忘れてしまうんです。なので、「特許のネタになるようなものは自分たちには無い」と言うのですが…。
私からすると「いやいや、そんなはずはない」と思う事は非常に多いです。

特許というのは、すごく優秀な人がすごい発明をしたものを差すと思い込んでいる方が非常に多くて、特許に対しての敷居値を勝手に高めてしまっているんですよね。実際、世紀の大発明のような特許なんてほぼありません。
内山
分かります(笑)私も、特許は、誰も思いつかないような大発明に対してもらえるものだと思っていましたから。
加藤
いつからか特許=敷居が高いという認識になってしまったのですが、実際、自分たちの身の周りには特許になるものがゴロゴロ転がっているんです。
年々出願件数は減少傾向にありますが、それでも年間30万件特許の出願申請があります。毎年30万件も、世紀の大発明があるわけないです。

信じられないかもしれませんが、実は、特許になり得るものはそこら中にあるんですよ。
「IPS細胞、未知の発見!」などは、みなさんが感じる特許のイメージに近いかもしれませんが、そんなことはありません。全体の0.000…1%くらいの割合ですからね。

身近な例えですと、「湯呑の使い勝手を良くするために取っ手を付けました」というように、特許になるようなネタは山ほどあるわけです。
「使い勝手を良くするための形状にするには、この手法しかない」というものは、影響度が高いので、「え!!これが権利になっちゃったんだ」と慌てる人もたくさんいるわけです。
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加藤
我々が「これはちょっと難しいな…」と感じるような内容でも、申請してみるとスッと通るケースもあります。
出願以前に公開された文献が出てくるかこないか、にもよるので、弁理士で必死に探すのですが、該当する文献が出てこなければ、「すでにある」という証明ができないので、特許査定に移ります。
「まさか、この文献がないの?!」というような、身近な内容で審査が通るケースは意外と多いんですよ。

特許は営業に役立つ。これで十分なんですよね。

内山
「営業代行」で「サービス業」という分野では特許を取ろうという人も少ないから、ある意味取り放題なわけですが、でも営業には役立つ。これで十分なんですよね。
加藤
そうです。例えば、技術やノウハウを守るという点では他者に対しての抑止力にもなります。
他者に対して下案させるというのを別の方法で行なおうとすると、非常に大きな労力が必要ですが、ちょっとしたアナウンス効果で下がってくれるのであれば、それは投資になると思います。
内山
中小企業だし、特別すごい製品を作っているわけでもないし…と感じている企業も特許を取るべきだと考えているのですが、先生から見てどう活用すべきだとお考えですか?
加藤
費用が掛かることですので、もちろん考える必要はあります。
しかし、先ほども申し上げた通り、日々活動している中で「これは!」というものはたくさん足元には転がっています。
それが、今は光って見えない石ころでも、ダイヤの原石のように、みんなで話し合い、ブラッシュアップを重ねることでキラっと輝くことがあるのです。
自分たちの周りには、実は原石がいっぱい転がっているんだ、という意識を最初のステップで持っていただくことによって、見方が大きく変わると思います。
それは特許を取る取らないではなく、ビジネスとして大きな差になってくると思います。
内山
経営者の方にその意識がないと、原石はダイヤには変わらないですよね。
加藤
例えば、大手企業と共同開発を行う際もそうです。
相手企業が持っているネタを元に、試行錯誤し、完成したものを渡す。その際に、スクリプトとしては仕様通りできているから良いかもしれませんが、作っている過程で「この使い勝手が悪いな」という部分で、工夫して改良した技術に関しても、ほとんどの契約では、一切合切渡しなさいという内容になっているんです。
ですが、それは先方が創作したものではなく、自分たちの技術や工夫・知識ですよね。本来は、「出願するので、使いたいのであれば買い取ってください」と言っていいはずなのです。 そこが、今一番問題になっているのですが。

自分たちの知識や技術を守るためにも、証拠を残すためにまずは出願をし、特許取るための権利を得る。そこを譲渡するかどうかというところで、金銭を得ることもできるので、権利を取得するというだけでなく、自分たちの技術を守り、ビジネスとしても活用する事は大事なことだと思います。
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会社を設立したら、社名の商標をとることも大切です。

内山
会社名の商標を取得することも大事だと思うのですが、いかがでしょうか?
加藤
近年は、商標も身近な存在になってきたように感じます。
それでも、会社設立して社名の商標を取る方はまだ多くはありません。
他者からの侵害を守ることはもちろんですが、社名を考えたときにもしかしたら自分が侵害者になっている可能性もあります。
ですので、一度調査をしておかないと、万が一の際に痛い目に合いますし、調査をして、これは誰も使っていないと判明すればできるだけ商標を取った方が良いです。
内山
商標を取るメリット、取らない事のデメリットは甚大ですよね。
加藤
そう思います。あとから「しまった・・・」という時にはもう手遅れになってしまいますからね。
内山
費用はどのくらいですか?
加藤
まず出願前の商標調査(約1万円)がクリアしたら、商標登録の出願に進みます。調査から登録まで、トータルで15万円ほどになります。
内山
私自身、創業当初に痛い経験をしているので、商標の価値を身に染みて感じているのですが、どれだけ大事なことか知らない経営者も多いのが実情ですよね。
もし、あの時に「株式会社エグゼクティブ」で商標登録していなかったら、創業数年後に現れた同じ社名を語る業者を撃退することは出来ませんでしたから。
それによって、当社で培ったブランドも顧客が当社と勘違いをして、全く別物の株式会社エグゼクティブに流れてしまう。当然、そこの質が悪ければ、同じ社名である当社にも被害があるわけです。
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加藤
特許には実用新案というものもあって、例えば一昔前に話題になった、主婦が開発したダイエットスリッパなんかがそうですが、特許と異なり審査不要で10年間の権利が与えられる、アイデアを保護する権利もあります。

商標は、特許や実用新案と考え方が異なり、世の中に混乱を起こさないために識別するためのマークです。
例えばキッコーマンの醤油を買いに行ったときに、中身が別物なのに同じようなマークの醤油が並んでいたら、消費者はどちらを買えば良いか混乱しますよね。
正規品ではない偽物を手にしてしまう危険があるのです。

そこで、他と識別力を持たせるものが商標になります。
識別させるという意識がなかったばかりに、まがい物が現れ、「○○社が丁寧で良いと聞いて検索したら、社名は同じだけど所在地が異なる会社がヒットした。依頼をしたけど、やはり評判とは全然違う…。」と顧客が他社に流れてしまうばかりか、自社の信用やブランドも失うリスクがあるのです。
内山
怖いですね。相手はそれを狙って、わざわざ同じ社名で新設会社を作ってくるんですからね。
それを能動的にやられて、しかも相手が商標を申請していたなんてことがあったら、自分たちが本家なのに、ほとんどのケースで勝てない。恐ろしいことです。
加藤
特許の場合は、同一のもの、つまり全く同じものはNGなのですが、商標の場合は、「識別させる」ことが法の保護対象で、範囲が「同一または類似」になるので、「少し似ている」でもNGとなります。
内山
キッコーマンはもちろん、キッゴーマンでもNGということですね。
加藤
見た目で似ている。発音が似ているもNGです。近年は、色も商標登録できるようになりました。
また、愛とラブでは発音も言語も異なりますが、愛という同じことを表現している。そうした概念もNGとなります。
商標の保護範囲はかなり広域になります。

中小企業の特許取得のお役に立ちたいですね。

内山
世の中に、特許事務所は多くあるけれど、現実は出願するのは大手企業が大半で、中小企業で特許や商標取得をする会社はごくごく一握りなんですよね。ですので、既にそれらの重要性を理解している大手企業だけの分野というのではなく、「そうだったの?!」という人達のためにお役に立たないと…ですよね。そこがスタートですからね。
加藤
何件も取得する必要はありませんが、リニューアルや新製品などが出てくるタイミングなどで、「せめてこれだけは押さえておこう」というような感覚を持っていただきたいなと思います。
内山
そうですね。
自分たちが考えた事、従業員が頑張ってくれたことを守るという意味でも、特許化するという事は大事なことなんですね。
加藤
はい。
M&Aのケースでも、企業価値には時価総額の中に知的財産というのも入ってくるので、経験した企業さんからは、「知的財産がこんなに大きな価値になるとは知らなかった」と、驚きの声を耳にすることも多いです。特許で証明されることによって、自分たちの技術や知識が大きな価値になりますから。
銀行で融資を受ける際の担保にもなるくらい、知的財産というのは非常に価値の高いものなんです。
内山
私自身、実体験をして商標や特許の価値を身に染みて実感しているだけに、同じような中小企業さんにもっと広く知っていただきたいと思います。
加藤
今は、規模の小さな会社さんには助成金も出ます。
国も冊子やパンフレット等で告知をしているので、自分たちにとって大事なこととして認識していただき、活用して欲しいと思います。
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